子どもが大学生になり子育てを振り返って思うのは、育児にしても人付き合いにしても部下を育てるにしても、結局基本は一緒なんだなと言うこと。
育児本、心理学の新書、ビジネス書、それから自己啓発本。面白いほど同じことが書かれているのです。
相手を認める、人を変える前に自分を変えよ、自己肯定感を高めるのが大事、部下にやる気を出させるには?・・・etc.
相手の立場や年齢や性別が違っても、人と「良く」付き合うにはどうするのかという基本は、だいたい同じなんだ!と思いました。
そのおつきあいの中で、相手が変わるお手伝いをするのがコーチングかな?と私は考えています。
子どもが浪人生のころNHKの番組『奇跡のレッスン』を知りました。本で勉強していたとは言え我流のコーチングでいつも「果たしてこれでいいのだろうか?」と思いながら子どもと接してきたので、「もっと早く見たかった。」と心底思ってしまいました。
コーチングを知らない人は、きっとこの番組からたくさんヒントをもらえると思います。医学部受験で悩んでいる保護者には、特に見てもらいたいです。
『奇跡のレッスン』とはどんな番組?
奇跡のレッスン 〜世界の最強コーチと子どもたち〜
世界の一流指導者が子どもたちに1週間のレッスンを行い、技術だけでなく心の変化まで呼び起こす。
Eテレ 毎週木曜 午後10時 | 再放送 毎週月曜 午前0時45分 (日曜深夜)
〜「奇跡のレッスン」番組サイトより引用〜
スポーツだったり芸術系だったりと毎回ジャンルは違うのですが、その競技の世界的指導者が「普通」の中学生に1週間レッスンをしてくれると言うすごい企画。
きっと同じスポーツをしているお子さんをお持ちなら、「うちの中学にきて〜!!」って絶対思いますよね。
全国レベルのチームではなく、うちの子どもも通っていそうな本当に普通の中学校の子ども達なので、最初はコーチのテンションの高さ(外国人特有のものも含む)についていけません。
普通のシャイな日本人中学生だし、どうしていいのか分からないのでしょうね。
そんな子達が次第に楽しそうにバスケットボールをしたり、ゴルフをしたり、サッカーをしたり、楽器を演奏したりするようになってくるのです。
すごい指導者は、そこにいる子どもたちに合わせて色んな練習方法を提案し、励まし、やる気を引き出していきます。やらせるのではなく、やりたくさせちゃうのです。
最初は不安そうな、どうしていいのか分からないような目をしていた子ども達ですが、生き生きと練習するようになり、段々「もっと上手になりたい。」と変わってきます。
最後は必ず他校と試合をしたり、発表会が開かれます。大いに変わったところ、やっぱりすぐに変われないところとあるのですが、今までで一番頑張った、頑張れたんだと言う自信を子どもが持てたのかな、と思わせる最後になっています。
一流コーチがしていたコーチングとは?
番組ではコーチの指導でお子さんたちがどんどん変わっていくのですが、すごくしっかりした顔になっていくんです。本当に良い表情をするんですよ。
私は子どものそう言う顔をみると、なぜか泣けてくるんです。子どもってすごいなと本当に思います。
そして、この一流コーチのような指導者に出会えたら、子どもはものすごく伸びるんだろうなと。私がこのコーチ達のようだったら、もっと子どもがのびのびと成長できたかも?と思います。
番組に出演している世界の一流コーチたちに共通することは、どの人も優しそうな雰囲気で、子どもに好かれそうな感じだということです。人を安心させる穏やかさや、陽気で楽しげな雰囲気を持っています。
練習も、何ができるようになるためにこの練習をする、ときちんと目的が分かるように子どもに伝えます。
子どもたちが上手くできなくても怒りません。「失敗しても良いんだよ。」「今度はどうすればできるようになると思う?」「同じような場面があったよね?どうすれば良いの?」と子どもに考えさせ、答えを見つけさせるのです。
また、自分の指導するやり方を押し付けません。ある子どもが「僕はこの方がやりやすいのです。」と言えば「そのやり方でやってみよう。」と一緒に試します。ものすごく柔軟。
こんな風に、世界で活躍する選手や芸術家を育成しているコーチのやり方を、テレビで見ることができるんです。すごいです。
映像は本で読むよりも伝わる部分があります。顔の表情とか声のトーン、どんな時にどんな言葉がけをするのか。特にコーチングってどうすれば良いの?と思っている人におすすめしたいなあと思います。
実践する時は、とにかく番組を何度も見て、一流コーチになったつもりで子どもと接して見てください。最初は言うタイミングがずれていたり、いまいち本気で褒めてなかったり、色々微妙な感じになると思いますが、やり続けていくうちに何かつかめてくると思います。
一流指導者のコーチング法は我が家の医学部受験に効果絶大だった
子どもの可能性を信じ続ける
君はできると励まし続ける
なぜできたのかなぜできなかったのかを子どもに考えさせ続ける
子どもに合うやり方を探し続ける
できたことは素直に褒める。全力でやってもできないことを責めない。
子どもが安心して気持ちを打ち明けられるよう穏やかで信頼できる人物に母(父)がなる
医学部を受験すると子どもが決めて、それからずっと医学部に入れる勉強法が気になっていたけれど、それよりも「自分が成長するにはどうすれば良いか?」と子どもが自ら考えるようになる精神的な成長の方が、受験にはもっと大事だったと思います。
成績を上げる方法論は後からついてくるような気がします。
子どもを成長させるのに、世界の一流コーチのやり方は本当に効果がありました。
やはり人にやらされてる勉強って、頑張っているつもりでもどこか適当になんですよね。それは毎日子どもを見ていると分かるし、親はそんな子どもにイライラしちゃうんですよ。
でも、そのイライラの原因は自分の思い通りにならない子どもへの怒りなんですよね。自分がこんなにしてあげてるのに、アドバイスしてあげてるのに本気になってない、成績があげられない子どもへの怒り。
「してあげてる」と言う気持ちを頑張って封印し、「自分が手伝いたいからしてる」に少しずつ切り替えられるようになったら、素直に子どもの頑張りを認められるようになって私の気持ちも楽になりました。
子どもは親の思い通りにならないし、親がやる気を出すことはできないです。でもきっかけは親にも、親だからこそ作ってあげられると思います。
子どもに合う勉強のやり方を一緒に探すこと、やればできるんじゃないかと思える小さな成功体験を積み重ねさせてあげること、辛いときには共感してあげること。色々できることがあります。
よく思い返すと、子どもが高校生の頃は、私は世界の一流コーチになりきっていたかも。例えばラグビーのエディ・ジョーンズ元監督とか、シンクロナイズスイミングの井村雅代監督とか。笑っちゃいますね。^^;
ところで一流コーチになりきるって笑える話ですが、同時にものすごく大変でした。なぜなら子ども以上に親自身の成長が最初に求められるからです。
自分の感情を抑えて我慢強く子どもと向き合うって、本当に苦しかった。しかも偏差値50ですからね。希望もない状態で。自分のためだったら絶対に無理でした(とっとと諦めてます)。
私がなんとか頑張れたのは、子どものためだからですね。^^;子どもが諦める前に私が諦めちゃダメっていうそれだけ。
なんてね、私の中では思い出は完全に美化されていますが、子どもに「あの頃どう思っていた?」と聞いたら、「色々不満があった。」と言われそうです。
それでも「ちょっぴり変わった?変わろうとしている?」母親を何となく感じ取ったのか、子どもも少しずつ大人になり自分のために頑張るようになった気がします。
子どもってやっぱりすごいのです。親に合わせてくれて感謝。